第2部  プラント特捜最前線  倉田事件簿シリーズ

第7話  バイトが飛んだ! 安全器具の不正使用

村上 正志
2008年9月1日


          
調査員 釜石
調査員 木下
調査室長 倉田

  部品加工製造装置のバイトが飛んで、作業員にあたり、怪我をした作業員は、救急車で病院へ運ばれた。



釜石 「 自動旋盤装置には、このような赤い停め金具がフロント・カバー・スライド・ドアにあって、ドアが閉まると安全ロックがかかって、その安全ロックがかかったことを受けて、モータが廻りだすようになっているのです。 」

木下 「 それだと、研削しているバイトが飛んでも、この透明なドアがあるために飛んだバイトは作業員まで当たらないはずだよね。 」

釜石 「 事故が起きた時は、カバードアは開いていたそうです。 。 」

木下 「 ドアが開いていたなんて、・・・・、ありえないでしょう 。 」

釜石 「 メーカの説明では、『ありえない』ですね。 」

木下 「 じゃあ、なぜドアが開いていたのかだが。 」

釜石 「 安全装置にさす金具を予備部品として購入し、それをドアの安全装置に挿してドアを開けたまま作業をしていたそうです。 」

木下 「 ドアを開けて作業する目的は? 」

釜石 「 他の作業者に聞き取りしたのですが、研削作業では、微妙な当りを視ることがあるそうで、その時は直接視たいということですね。 」

倉田 「 やはり、要求される品質を出そうとすると視たくなるのは、必然性だな。 」

木下 「 そこは、メーカだって解っているだろうに。 」

釜石 「 そうなんですが、そこで、メーカでは、直接視る時は回転数が低い状態で視れるようにしているそうです。 」

倉田 「 ところが、バイトの当りを回転数を上げながら視たいと言う要求と安全を確保した装置を提供するメーカ側責任とのハザマの問題があるんだな。安全を確保する装置にドア側の安全キーを筐体側のキー受けに挿して、運転していたことが作業マニュアルにあったかと言う件についてはどうだった? 」

釜石 「 作業マニュアルには、予備の安全キーを挿して作業するという表現はなかったです。 」





木下 「 となると、作業者責任か。 」

釜石 「 メーカ側もそこについては、『想定していない。』という回答ですね。 」





倉田 「 そうだろうな。バイトの取り付けが甘かったり、しっかり固定できても急激なトルクがバイトにかかればバイトは飛ぶこともある。だから、カバー・ドアは閉めてからでないと回転数は上がらない。という理屈だからな。」 」

木下 「 高速回転でもバイト先が視れるようにカメラを取り付けるとか。 」






釜石 「 カメラは付いているんですが。でも、回転数が上がるとバイト先に当てる水が跳ねあがって、視れたものではないですね。 」

倉田 「 やはり、あるレベルを超えた品質を訴求すると、直に感じる感性が必要だからね。カメラ映像経由では伝わらないからなあ。 」





木下 「 メーカ側も売りたいから、予備キーを渡すんではないでしょうか? 」

倉田 「 知っていて渡す。ん〜。 」







第2部 第7話 了
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