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MESをテーマに第1回「ユーザベンダ⇔ベンダシーズ交流会」を開催


 9月4日(金),東京・神田(情報オアシス神田)において,月刊『計装』主催の「ユーザニーズ⇔ベンダシーズ交流会」を開催いたしました。同交流会はユーザ,ベンダ・システムインテグレータ参加による情報・意見交換の場を目指したもので,第1回として「MES構築・運用に向けた課題と提案」をテーマに行いました。
 
 出席はMES構築事例の発表者3社(化学会社2社,飲料会社1社),オーディエンスには飲料会社,化学会社,食品会社などユーザ10社(14名),ベンダ・システムインテグレータは7社(9名)にご参加いただきました。
   

発表@では「PIMSを活用した製造情報の見える化・運転支援への取り組み」について,連続プロセス,バッチプロセス,組立加工での事例が紹介されました(化学会社)。制御システム,プロセス,装置からPIMSに収集された製造情報の解析によりプロセス乱れや機器故障の原因究明・改善で高い効果を得ているとのことでした。バッチプロセスにおいては製造計画と実績データとの突き合わせによる進捗管理,フィルタリング機能(分類・検索)により品種,処方,設備ごとにグルーピングがされた品種データと検査データとの一元化などに活用されています。今後の課題として,@情報システムとの連携,AMESの体系化・標準化による再利用,BMESに対する投資の評価方法,Cシステム保守体制の確立,Dセキュリティ,Eキーマンの育成などが上がりました。    

発表Aでは「バッチ運転支援マニュアルの構築」について紹介されました(化学会社)。増え続ける銘柄と熟練技術者不足といった課題に対して,@作業ミス防止,A稼働率向上,Bマルチ製造を目的に,当初,市販のMESパッケージソフトについて調査を行ってきました。しかし,食品向けパッケージではスペック不足,医薬品用パッケージではスペックオーバーと合致する製品がなく,ベンダとともに独自にシステム開発を行いました。開発したシステムは銘柄管理ソフトにリンクしたExcelのスプレッドシート上に銘柄ごとに工程を展開し,実プラントで操業する前にシミュレーションを行うもので,導入後,ミスはほぼゼロになったとのことです。プログラミングは職長の方々が行っており,ソフトウェアのブラックボックス化も避けられているとのことです。    

発表Bの「MES標準化への取り組み」では,全国11カ所の工場で生産される製品の品質の統一化を目指し,工場の制御システムの上位に位置づけられる生産情報システム(MES)の標準化に取り組んだ事例が紹介されました(飲料会社)。標準化は@製造計画,A実績管理,C品質管理,Dエネルギー管理などを対象に行われ,その成果として,原料,ユーティリティ使用量,プロセスデータなどのデータ収集による工程改善効果の把握,ロット追跡などが行えるようになりました。標準化を進める上で,どこまで標準化すべきか,工場の独自性をどこまで持たせるのかなどに苦心されたとのことです。

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  計装制御システムはプロセス産業においては必須の技術となっていますが,それを取り囲むMESはその投資効果が見えにくく,時にはもともとなかったシステムと片づけられてしまうなど,導入へのハードルの高さが指摘されました。発表Bにあった全社的な標準化や生産情報システムの導入の方針があれば導入しやすいが,ボトムアップ型での導入の場合,経営サイドを説得させるために現場では苦労しているとのことです。  また,ユーザ各社のMES担当者・体制などについて質問が出ましたが,MESの専門の部門を社内に持つことは難しく,少人数のMESチームを編成し,情報システム部門や製造部門と連携して構築・改善を行っているとの回答もありました。  基幹情報系(ERP)システムは予算が付きやすく,また標準的なシステムの導入で可能であるが,製造情報システム(MES)は作られている製品,設備,業態によって大きく異なるため,ベンダからは業態に合わせたパッケージソフトが提供されています。しかし,より現場ニーズを満たし,高い効果を求めれば求めるほど,システムの作り込み・カスタマイズが増えることとなり,費用負担の問題,サポート体制の充実などが課題として上がりました。

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  システムのオープン化にともない,計装制御システム,装置・プロセスからの情報の収集自体は容易になり,次のステップとしてこの情報をいかに有効に活用していくかが課題となります。計装制御システムだけでは解決できない課題に対して,今後,MESの役割がますます大きくなると思われます。今回,交流会を通じて,MESの課題がいくつか浮き彫りになりました。その課題解決の「決め手」はそう簡単には見つからないかもしれませんが,MESが話題になりだしてからわずか10年,MESを取り巻く新しい体制やビジネスモデルはまだこれから生まれくるのではないでしょうか。

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