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1.水の流れを測る

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(5) 過熱蒸気の流量測定

 一般に工場のユーティリティとしては熱源としての飽和蒸気が多く使われており,過熱蒸気を扱う機会は飽和蒸気に比べて少ないと思われるが,過熱蒸気の流量測定に当たっての一般的事項を挙げてみたい。

 

 過熱蒸気の流量測定に使用される流量計は,原理的に飽和蒸気と同じものと考えてよい。流量測定に当たって,過熱蒸気として注意すべきことは飽和蒸気と同じく使用状態での密度の変化である。

 

 面倒なことは,飽和蒸気の場合は圧力と温度の関係が一義的であるため,どちらかのデータが得られれば密度を知ることができたのに対して,過熱蒸気の密度は圧力と温度の関係が一義的でないため,密度を知るには圧力と温度の両方を知る必要があることである。

 

 一方,飽和蒸気と違って過熱蒸気では配管内でドレンが発生し湿り蒸気となることがないため,流量測定に用いる流量計にこの点で悪影響を与える心配はないが,一般的に温度が高いための配慮は必要となる。

 

  渦流量計のように流量計に電気要素(部品)をもっているものについては,温度の影響を少なくするような配慮がなされたものが蒸気用(高温用)として発売されているので,機器選定時に注意しておくとよい。


過熱蒸気

飽和蒸気と違って,過熱蒸気の場合はもっぱら動力用として使用されている。

その理由は,加熱源として利用するのは顕熱であるため熱を放出すると蒸気温度が下がり,熱源である蒸気の温度が変化する。そのため製品の品質に影響を与える。

このことは圧力が一定でも温度が一義的に定まらないことであり温度制御を難しくする。したがって,ドレンを嫌うタービン等の蒸気原動機への動力源として使用されている。


<過熱蒸気の密度補正>
 密度補正の考え方は飽和蒸気と同じであるので,各流量計についての密度補正のやり方を参照してもらいたい。ここでは,過熱蒸気に特有な密度の求め方について考えてみることにする。
  過熱蒸気も気体の一種(気体も過熱蒸気の一種)であるから,圧力と温度が密度に影響する。理想気体の場合は,密度は圧力に正比例し,温度に反比例する。したがって補正係数は次のように求めることができる。

 

   
   

 

   ここでKp:圧力補正係数

      Kt:温度補正係数

      Pb:設計基準圧力 MPaG

      Pf:使用状態圧力 MPaG

      Tb:設計基準温度 ℃

      Tf:使用状態温度 ℃


 絞り式流量計では,上記補正係数に開平演算を施して実際の補正係数を求めている。 過熱蒸気では,温度を一定としたときの圧力変化と密度変化及び圧力を一定としたときの温度変化と密度変化が直線的に変化せず非線形となる。このため,上記のように理想気体の補正式で補正係数を求めると大きな誤差となり使えない。

表5(過熱蒸気の密度(例))に圧力1.8〜2.2MPaG,温度280〜325℃の範囲の過熱蒸気密度を示す。
 グラフ1は表5のデータに関して圧力をパラメータとして温度と密度の関係を表したものである。 このグラフで見ると各圧力における温度と密度の関係の傾斜が違っているのが判る。 また,各圧力における温度と密度の関係は直線的ではなく非線形であることも読み取れる。
実用的に用いられている補正方法は,おおよそ次のようなものである。




グラフ 1 過熱蒸気の温度と密度の関係

1.折れ線グラフを使う方法
@基準温度における圧力変化に対する密度補正係数
A基準圧力における温度変化に対する密度補正係数
 上記2つの関数グラフより求めた圧力,温度の変化に対する補正係数を使って補正する方法であるが,これは簡易的な方法であり温度・圧力の補正範囲が広い場合は補正精度が悪くなるので,この方法を適用しても良いか事前に十分検討して実施すべきである。

2.過熱蒸気表を使う方法
 ディジタル演算(PC・PLC)を使用して補正演算を行う場合は,演算器内部に過熱蒸気表を内蔵し温度・圧力から直接密度を求めて補正演算を行う。 この方法は正確であるが,過熱蒸気表を作りこむ必要があり,温度・圧力の区分数によっては中間 値の求め方で精度が落ちることがある。 いずれにしても過熱蒸気の流量計測では,密度補正のために温度と圧力の両方のデータが必要になってくる。