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1.水の流れを測る

1-1 Utilityの流れを測る

(1) ボイラーの流れを計る

   ボイラーとは燃料を燃やし、水を熱して温水や蒸気を発生させるものであり、その  用途はあらゆる産業に亘っている。  また、使用目的によって非常に多くの種類があり、その様式もさまざまである。

ボイラーの分類
 (社)日本ボイラ協会によると構造によって表1に示すように分類している。

      

 また、ボイラーは法規上では次の3種類に分類されており段階的に法規制が厳しくなっている。

  @簡易ボイラー
  A小型ボイラー
  Bボイラー

 これらの分類は構造や大きさなどによって、細かく内容が決められており、簡易ボイラーは構  造規格の遵守が義務付けられているが、ボイラー及び圧力容器安全規則の適用が除外され  監督官庁による検査は義務付けられていない。
 このような種類による違いはあるがボイラーに共通するものとして、「水の流れ」「蒸気の流れ」  「燃料の流れ」「空気及び排ガスの流れ」がある。
   ボイラーに共通する、これらの流れを測定する流量計を選定するにあたって必要な要件につい  て整理してみる。

<ボイラーにおける水の流れを計る>

(復水器)
 図1はボイラーにおける水の流れを示したものであるが、蒸気を動力源としてタービンなどを  動かすものは、図のように使用後の蒸気を復水器で水に戻し再度ボイラーへの給水とする。
 復水気では蒸気を水に戻すことによる体積変化で圧力の低下がおこり、蒸気エネルギー  の有効利用を図っている。



(動力源としての蒸気は加熱蒸気)
 復水器では大量の冷却水を使用するため、沿岸部に立地する所では通常海水を使用する。
 蒸気を熱源として、暖房や工場の製造工程における加熱に使用するものは、蒸気の持つ潜  熱を利用するため熱交換後の蒸気は水に戻る、従ってこの場合は復水器を持たず、使用  後の蒸気はドレンとして排出される。
(熱源としての蒸気は飽和蒸気)
 このため、ボイラーへの給水は常に新しい水を補給することになる。
(純水装置)
 ボイラーに供給された水は、ボイラーで蒸発し蒸気になる。このとき給水された水の中にカル  シウムやマグネシウムなどのイオンが溶存していると水が蒸発した後にこれらがスケールと  してボイラー内に析出する。
 このようなスケールが成長すると、熱伝導を阻害しボイラー効率が低下する。
 純水装置は水中に溶存するこれらのイオンを除去し、水管へのスケールの析出を防止する。  通常はイオン交換樹脂を使って水中のイオンを除去している。
(脱気器)
 水中に溶存する酸素を初めとする気体はボイラー内部の金属材料に種々の障害をもたらす。  最近は純水装置によって給水中の不純物が除去され、ボイラー内の金属に対する溶存気体  の影響をより受けやすくなっている。
 このため給水中の溶存気体を抜取る装置として脱気器がある。脱気の方法は真空中に給水  を導いて脱気する方法、水に蒸気を直接接触させ水の沸点で溶存ガスの溶解度がゼロにな  る原理を応用したもの、また化学的に還元するため脱酸素剤としてヒドラジン(N2H4)及び亜硫  酸ナトリウム(Na2SO3)を用いる方法がある。
(加熱器)
 水をボイラーに給水する前に、あらかじめ水の温度を上げるもので通常2箇所に分けて設置  される。
 水の流れの順から上流側に置かれるものは、脱気器の前に置かれ水の温度を上げることで  溶存ガスの脱気を促進させる。
 下流側に設置されるものは給水ポンプの後に置かれ、給水の温度を上げることによりボイラー  効率を高めている。

<流量測定>

 ボイラーにおける水の流量測定は、ボイラーへ供給する給水流量の測定がメインとなる。
 それに付随して、復水器があるものは補給水の流量、途中にストレージタンクを有するものは  タンクからの流量をそれぞれ測定する。
(導電率の問題)
 給水系の流量測定に当っては、上記図のように純水装置や脱気器により水中の溶存イオンが  除去されるため、電気伝導度(導電率)が小さくなっているのが特徴である。
 導電率の値は、その水の純度を示すもので小さいほど純度が高くなる。
 超臨界の蒸気を発生するボイラーや貫流ボイラーはより高い純度の純水を必要とする。  流量測定において導電率の値は電磁流量計の使用を困難にするので事前にチェックする必要  がある。
概略5μs/cmより小さい値であれば通常の電磁流量計の使用は困難と考えた方が良い。
(温度の問題)
 給水流量の測定では、その温度にも注意を払うべきである。蒸気接触式の脱気器出口では  そのライン圧力の飽和温度に近い温度になっているし、後段の加熱器出口ではそのボイラーの  仕様によるが300℃近い高温に達することもある。
(圧力の問題)
 同様に給水の圧力もボイラーによって高いものがある。実際にはボイラーの仕様により決まるの  でチェック項目として挙げておくべきである。
 給水の圧力はボイラーで発生する蒸気の圧力に逆らって水を押し込むので、発生する蒸気圧が  高いほど給水圧力も高くなる。
 大型の発電用ボイラーでは水の臨界圧力を超える30MPa程度の圧力で給水されるものもある。
   このような高温・高圧下で使用される流量計では機械的構造物の摩耗に注意が必要となる。
(腐食の問題)
 ボイラー給水については、純水装置や脱気器で不純物や溶存気体を除去しており、給水その  ものが配管材やその他の材質に腐食を与えることはない。
 ただし、ボイラー装置全体から見ると復水器の冷却水として海水が使われることが多く、この場  合、冷却水(海水)流量を測定するときの注意点となる。
 海水は短期的には強い腐食性を持たないが長期的には面倒な腐食性を発揮する。
海水に対し、長期の耐腐食性を持つ金属は一般的にはチタンであるが、これは高価であり大量  の接液材としては実用面で問題がある。
 電磁流量計の電極など、接液材としての一部がチタンである場合は実用面でも問題ないが、オ  リフィスなど装置全体をチタンで製作するには経済的に不利となる。
 一部ではオリフィスの接液部をPVC(塩ビ)で製作した例もあるが、現在では流量検出が非接液  で行われる超音波式流量計が用いられる場合が多い。
海水の流量測定で問題となるものとして、腐食の他に海生生物(貝・藻等)の付着や流れ込み  が挙げられる。
 これらの対策として、夏場日本近海で毎年問題となるクラゲを除去するスクリーンや貝や藻の発  生を防止する薬品や電解処理が施されている。