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2.油の流れを測る
 

 2-2 食用油の流れを計る

(2)食用油の流量測定

 

 

4、食用油の流量測定

 

食用油を流量測定の面から見ると、その物性は概略つぎのようになる。
  1.密度:水よりやや小さい、0.8〜0.9 g/ml
  2.粘度:常温ではかなりの高粘度を示すが、温度を上げることで下げることができる。
  3.導電度:ほぼ”0”であり、絶縁物と考える。
  4.引火点:250℃前後が多く、石油製品に比べるとかなり高い。

 流量計を選定する上で必要となる代表的な物性は上記のようであり、ここでの特徴は石油製品と同じように3項に挙げた導電率が無いことであり、液体流量計として広く使用されている電磁流量計が使用できないことである。
製造工程での流量測定では、石油製品のように課税管理の必要性は認められないが、生産管理のための流量測定は必要となる。
 もちろん、取引証明用に使用されるものは承認された流量計を使用する必要がある。

 物性として粘土が高く、導電率が無いことで使用する流量計の種類も絞られてくる。
  一般的にこれらの物性の特徴から、選定される流量計は容積式流量計であり、実績も多い。
  絞り式や面積式は粘度が大きい点で絞り機構の設計が不利になり、この点が逆に容積式に有利に作用する。 また、測定対象である油は食用であるためサニタリー性も必要になる。
 食用油は乳製品やジュースのように早急な腐敗はないが、食用であるからには流量測定にあたっては流量計本体や付属設備の構造に滞留や詰まりがあるような基本的に避けるべきである。
  したがって、この面からも差圧式流量計は絞り機構の構造や導圧管に滞留や詰まりが起こる ことを想定する必要があり好ましくない。
 最近では超音波流量計やコリオリ式質量流量計での測定も多くなっているようである。

 

5、食用油に使用される流量計


容積式流量計
  容積式流量計については、石油の項で説明したのでここでは機器の説明は省略する。
  オーバルギヤ式とルーツ式があり石油製品では低粘度の流体があるため、低流量域での漏れ量が問題となったが食用油の場合一般に常温ではある程度の粘度があるため、漏れの影響は少ないと考えられる。

超音波流量計
  最近使用されるアプリケーションを広げている流量計であり、食用油の分野にも使用実績が見られるようになった。
  この流量計は流体中を(超)音波が伝わる時間を(伝搬時間)を利用した流量計で、その測定原理は図1に示すようなものである。

 

<動作の説明>
流体の流れる配管を通して流体中に超音波を発射し、下流側で到達した超音波を受信する。次に下流側から上流へ向かって超音波を発射 し、上流側のセンサーでこれを受信する。
このとき上流から下流へ向かう超音波は流体の流れにのって伝わり、下流から上流へ向かう超音波は流れに逆らって進むことになる。このため、上流から下流へ向かう超音波の伝達時間(T1)と下流から上流に向かう超音波の伝達時間(T2)には時間差が生じることになる。
即ち、T2−T1=儺 を求めることにより流速を知ることができる。


 超音波流量計には、このように伝搬時間の差を求める「伝搬時間差方式」と流体中の気泡や固形物に反射して返ってくる超音波の周波数の変化から流体の速度を求める「ドップラー方式」と  があるが、一般には「伝搬時間差方式」が用いられる。
  測定原理から、「伝搬時間差方式」では流体中に気泡や固形の混濁物があると超音波の伝搬の障害(乱反射や減衰)になり測定に悪影響を与える。したがってこの場合はこのような不純物  の少ない清浄な流体であることが望ましい。
 一方、ドップラー方式では発射した超音波が反射するための物が必要で、まったく混濁物の無い清浄な流体では正常な測定ができない。
 使用に当たってはメーカーの仕様に従って適用流体と機種を選定することが必要となる。
 その他、超音波流量計の特徴として次のようなことが挙げられる。
 1.超音波の発信・受信を配管の外側から行うクランプオン形では、既設の配管への取り付けが 容易にできる。
 2.配管の内部に流量測定のための構造物が全くないため、圧力損失が無い。
 3.大口径でも価格の上昇が少ない。
 4.配管内の流速分布が測定精度に影響するため、上下流に直管部が必要となる。
大口径など流速分布の影響が避けられないときは、超音波の通り道(測線)を増やして影響を少なくする等の対策が取られる。
 5.配管材質によっては超音波の伝搬がよくないため測定が困難になる。(食品プラントでは問題になることは無いと思われる)
 6.より感度をよくする必要性があるときは、超音波の発信・受信部を配管の内部に設けることも行われる。(メーカーでこのような形に組上げたタイプを単管式と呼ぶことがある)


質量流量計
 現在質量流量計として使用されているものには、コリオリ式質量流量計と熱(サーマル)式流量計がある。
 コリオリ式は名前の通り、コリオリの力を利用した質量流量計であり流量計を通過する流体の質量 に比例した信号を得ることができる。
 一方、熱式流量計は一般にマスフローメータ(コントローラ)として商品化されており主にガス体の質量流量計として使用されているが食用油の流量計として使用されることはない。
 

この2つは測定原理を全く異にしており、測定原理から本来の質量流量計はコリオリ式であると云える。
 その理由は熱式の場合、流体によって熱源から熱を拡散させる現象を利用しており、流体が拡散させた熱量から流量計を通過した質量を求めている。
 しかし流体の種類によって拡散の度合いが違ってくるため流体の種類によって流量計のメモリ付け(校正)を行う必要があり、メモリ付けされた流体では質量流量計として使えるが他の流体では校正または換算が必要となる。
 参考までに 図2に一般的な熱式のマスフローメタの測定原理図を示す。

コリオリ式質量流量計
  コリオリ式では流体の種類に関係なく流量計を通過する流体の質量にのみ比例した信号を得ることができる。このため流量計の測定感度を満足する密度を有する流体で流量計を通過できる条件を備えていれば直接質量流量を測定できる。 

コリオリ式流量計の原理
  コリオリ式流量計の原理を図3に示す。流体が流れているU字形の管を上下に振動させると(図3-1(a))、この流体の質量流量と振動の角速度の積に比例する力が流体に発生する(これをコリオリの力という)。この力の方向は流れの方向によって変わるので、U字管はねじられることとなる。更に振動の方向が逆になるとねじれの方向も逆になる(図b)(図c)。
   

   

 従って基本振動に対するU字管のねじれ角を検出して質量流量を求める事ができる。
 この流量計には下記のようなユニークな特徴がある。

 (1) 質量流量を直接測定でき、かつ流体の物性にほとんど影響されない。

 (2) 精度が他の流量計より高い。

 (3) 固形物を含む液や高粘性液の測定が可能である。   

 (4) 流速分布の影響がない。また脈動にも追従できる。    

 (5) 質量流量と同時に密度の測定も可能である。  

  しかし一面、大口径の製品は作りにくい(現在口径150mmが最大)。一般に価格が高いという欠点もある。

コリオリ式流量計の構造と機能
 流体が流れる管を振動させて測定するので、外部からの振動の影響を受けやすい。

 そのため振動の方向が逆の2本のU字管をペアにして、ねじれの変位を作動的に測定し、振動の影響をキャンセルする方式が多い。

 測定管の形状としては、U字管のほかにS字形、ループ形、B字形、J字形、オメガ形、直線形といったさまざまな形の製品がある。

 2本のペアの管を使用するときは、メインの流れから各管へ2つに均等に分けなければならない。そうでないと誤差を発生する。この問題を避けるため、1本の測定管を使用する方式も最近開発されている。これにはループ形、多重コイル形、直管形がある。

 管の材質としてはステンレス・ハステロイCが多いが、チタンのものもある。精度は測定値の0.2〜0.4%程度であったが、最近の製品には測定値の±0.15ゼロスタビリティのものもある。

測定上の注意事項
 (1)いろいろな測定管の形状があるが、保守のことを考えて洗浄しやすい、気泡やドレンの抜けやすい形を選ぶ。

 (2)開発当初から比べると外部振動に対して非常に強くなっている。しかし、設置にあたって振動の少ない所を選び、しっかり設置する。

 (3)圧力損失やゼロ点の安定性は製品によって異なるので、事前にメーカに確認する。  

 (4)液中に多量の気体の混入があると誤差の原因となるので、事前に気体を抜くことが必要である。