HOMECONTENTS>水の流れを測る
1.水の流れを測る
 

 1.2 浄水場の流れを計る

(2) 浄水場における水の流量測定

  浄水場での水の流量測定は、大流量を取り扱うことになり圧力損失の小さい流量計が必要となる。
浄水場における原水から配水までの流量測定では、薬品注入と高度処理の一部を除いて腐食等に対する材質への特別の考慮は必要としない。

(原水流量)
  河川やダムなどから取水する原水の流量を測定するものであり、水質の変化はその日の天候に左右されることになる。
  一般に砂や砂利、土砂の混入を予測する必要があり、流量計内部に機械的構造物や稼動部の無いものが望ましい。
  また、これらの混入物があると原理上測定に悪影響を与えるような流量計は使えない。

(取水流量)
  着水井の入口で測定されるので、大きな砂や砂利は沈砂池で取除かれている。原水流量も同じであるが、大流量を測定するため圧力損失の小さい流量計が必要となる。

(ろ過池入口流量)
  沈殿池でフロックを除去した後、アンモニア性窒素や鉄分を除去するため塩素を注入する。このとき水の流量と注入塩素の量を一定の割合で行うため、ろ過池への流入量を測定する。
  この場所での流量測定の特徴は、水の流れが開水路となることであり、一般の流量計は使用することができない。
  堰やフリュームと云った開水路用流量計も設置条件等から採用が困難な場合が多く、流速と水位から流量を演算で求める「流速水位演算式流量計」が多く使われている。

(ろ過池出口流量)
  ろ過池でろ過された水は、殺菌のための塩素を注入し配水地へ蓄えられるが、ろ過池毎に流量を測定し、ろ過池の管理データとして記録される。
  急速ろ過の場合は、ろ過流量と、ろ過層の圧力損失(損失水頭と云う)から洗浄時期の判断を行っている。このため、ろ過地の数だけの流量測定が必要となる。

(配水流量)
  浄水場から出て行く水の流量を測定する。

(高度処理に関わる流量測定)
  高度処理装置まわりでの流量測定では、オゾンの影響を考慮する必要がある。
  オゾンには強力な酸化作用があり、酸化作用を受ける材質に対しては強力な酸化雰囲気に さらされることになる。
  従って、オゾンの影響をうける可能性のある流量測定では、対オゾン対策が必須となる。

(実際に使用されている流量計)
  浄水場で実際に使用されている流量計としては、ベンチュリ管、オリフィス等の絞り式流量計、電磁流量計、超音波流量計などの流路に機械的構造物のない流量計、堰式や流速水位演算式流量計などの開水路用流量計などがあり、それぞれその特徴を活かして使用されている。

(圧力損失の少ない流量計)
  特に最近では、大口径用の流量計としてその特徴が活かせる超音波流量計の実績が増えており、既設管路への設置が管路を開くことなく可能なことや、技術の進歩による測定精度の向上、圧力損失がないなどの特徴が活かされているが、測定流体に気泡や砂や土砂などの固形物が混入すると超音波の伝播に悪影響を与えるので、このような状況が予測される場所への適用は避けた方が良い。
  一方、電磁流量計は流路内に障害物がないと云う超音波式と同じ特徴を持ちながら、測定流体に固形物などの混入があっても流量測定が可能であり、測定精度も高いと云う特徴を持っている。また浄水場では種々の薬液を使って水処理を行っているが、これら薬液の流量測定にも電磁流量計が使用されている。
  その理由は、上に挙げた特徴の他に微小流量の測定が可能であること、酸やアルカリ、塩素といった腐食性流体に対して、これ等の薬液に耐性を持った接液材質を選べる自由度が高いことで広範囲な流体に対応できることにある。
  現在電磁流量計の口径は小は2.5mmから大は2.6m程度まで製作されておりその適用範囲は広い。
  また、接液材質ではライニング材としてテフロン、ゴム、セラミック、電極材としてSUS316、チタン,タンタル、ハステロイ、白金系合金などがあり測定流体によって使い分けられている。

超音波流量計の測定原理(1)

図3-1は伝播時間差法式超音波流量計の原理図である。
管の上流・下流に設置した超音波発信器兼受信器から交互に発射された超音波は流体の流れに沿って、上流から下流へ向かうものと、下流から流れに逆らって上流へ向かうものがあり、それぞれの到達時間の差から流速を知ることができる。
超音波を乱反射するような混濁物があると正常に動作しない。







超音波流量計の測定原理(2)
 図3-2は同じ伝播時間差法式の超音波流量計であるが、超音波のルートが2組あってX状に交差している。 流速を検知するのは超音波の通るルートだけであるから、流速分布に偏りがあるような大口径の測定では、超音波のルートを増やして流速分布の影響を少なくしている。

電磁流量計の発生起電力の式
   E=α・B・V・D・・・・・・・・・(1)
  ここで、 α:比例定数
         E:発生起電力
        D:管内径
        V:平均流速
        B:磁束密度
 管の流路断面積は、(π/4)・D2 であるので、容積流量Qは
   Q=π/4・D2・V・・・・・・・(2)
となり(2)式を(1)式に代入すると
   E =α・4/π・B/D・Q・・・・・・・(3)
 起電力は、容積流量Qに比例することがわかる。

 図4に電磁流量計の動作原理を示す。
 フレミングの右手の法則を測定原理とし、磁界の中を移動する導体に誘起される起電力を測定することによって導体の移動速度を知るものであり、導体を液体にすることで流体の速度を知ることができる。電磁流量計は原理的には測定流体に固形物などの混入があっても測定できるが、実際にはスラリーなどの固形物が測定電極の表面をこすった時にスラリーノイズが発生し、出力を不安定にすることが考えられる。
 各メーカーはこの対応ために特性改善を行っており、近年では問題になるようなこともなくなってきている。流体(液体)に誘起される起電力を測定することから、流体は導電体であることが必要であり絶縁物である石油製品のような液体は測定できない。

(絞り式流量計)

 ベンチュリ管やオリフィスなど絞り式流量計は古くから使われており、実績も多い。規格も古くから整備されており安心して使用できる流量計として馴染みの深いものであり現在でも広く使われている。
 しかし、近年省エネルギー化の流れの中で、流量測定のために圧力損失を伴うことがマイナス要因となり、圧力損失の少ない流量計に置き換えられる事例が多くなっている。とくに浄水場では取り扱う水の量が多く、また、流量計の数も多い。そのため浄水場全体では流量測定のための圧力損失により消費されるエネルギーも無視できないことになる。
●ベンチュリー管
絞り機構の中では圧力損失が小さい方であり、堆積物が溜まることも少ない構造となっている。
●オリフィス
絞り機構では、最も普及している。
 流路の一部を絞ることにより、絞りの前後に発生する圧力差が流速の二乗に比例することを測定原理としている。  したがって、絞りによって圧力損失が発生しこれがエネルギーロスとなる。  ベンチュリ管はオリフィスに比べて圧力損失も少なく、流体中の堆積物の滞留もしにくい構造で  あるが、構造が複雑で大型になり価格も高い。