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1.水の流れを測る
 

 1.3 下水処理場の流れを計る

(1)下水処理


 生活排水の処理を目的とした下水道施設は、生活環境の保全と資源の有効活用の面から近年 ますますその重要性を増してきている。
 下水処理の基本は次の3つから成っており、それぞれの施設が適用されている。
  1、水処理:排水に含まれる水分を分離・浄化し公共水域への放流が可能な状態へ処理する。
  2、汚泥処理:排水中の水分を分離除去した後に残る成分である汚泥を、無害化・有用化する。
  3、資源化:排水は一度資源として利用された後の廃棄物であるが、処理水及び汚泥共に再度     利用可能な資源として活用する。
 これらのことを実施しるためには、それぞれの設備が効率よく運用されなくてはならないがその内容は次のようなものである。

 水処理

 一次処理:下水中の固形物や浮遊物を物理的に沈殿、浮上させ分離・除去を行う。
 二次処理:微生物を利用して生物学的に有機物質を除去する。
 高度処理:一次及び二次処理では十分に除去できない有機物・浮遊物・窒素・りんなどの除去を行う。

 汚泥処理

  1、水処理で発生した汚泥中の固形物を分離し、減量する。
  2、汚泥性状の安定化を図る。
  3、下水汚泥を資源として利用するため、加工・調整する。

 資源化

 資源化には、処理水の利用と汚泥の利用があるが、汚泥の利用に注視すると次の3つに集約できる。
  1、緑農地利用:肥効性のある有機物を含む成分を農地の用度や肥料として利用する。
  2、建設資材利用:セメント原料や建設用骨材、土質改良、路盤材、レンガ・ブロックの原料。
  3、エネルギー利用:汚泥処理の工程である消化設備から得られる消化ガスはメタンを主成分として    いるため燃料として使用される。
  下水処理設備で必要な熱源としての燃料にする他、発電用の燃料として活用されている。図-1 に流量測定に注目した下水処理の基本的な設備と処理の流れを示す。


図-1:下水処理設備のフロー図と流量測定(基本形)


※ 図中の流量計を示す記号について

  パーマボーラス(P-B)フリューム流量計

    絞り式流量計(オリフィス等)

    電磁流量計

    せき式流量計



下水処理施設の概要

 

 1、沈砂池

  下水道から流入する下水には、砂や土砂などの他様々な固形物が含まれている。沈砂池では、主に無機質沈澱性混濁物や浮遊物を除去するための施設であり、生物的処理や化学的処理を行わず物理的な方法で除去するものである。
 

 2、汚水調整池

  下水の流入量や水質には、生活パターンにより時間的な変動がある。これをそのまま処理施設に導入するには、最大流量・最大負荷に対応した設備が必要となり、流量や負荷の小さい時間帯では過剰設備となる。
  これは設備的にも無駄なことであり、運転効率もわるくなる。
  そこで流入する下水の量的および質的変動を吸収し、下流の処理施設への供給を均一化す ることで処理効率を高め、処理水の質的安定を図る目的で調整池が設けられる。

 3、沈澱池

  下水中の浮遊物(Suspended Solid-SS)を沈澱除去する施設で、反応タンクの前後に2つの沈澱池がある。
  反応タンクの前にあるものが最初沈澱池と呼ばれるもので、下水中の有機物を主体とする比重の大きい浮遊物(SS)を沈澱除去する。反応タンクの後には最終沈澱池があり、微生物フロックを主体とする比重の小さい浮遊物を沈澱分離する。
  沈澱池では、有機物の沈殿物が生成されるので腐敗防止のため速やかに除去する必要がある。このため汚泥かき寄せ機と引抜き設備を備えている。
  また、一部腐敗した汚泥が浮上しスカムとなるため、スカム除去装置が必要となる。

 4、反応タンク

  下水中の有機物除去を目的に生物学的に処理する施設であり、下水処理施設の中心的設 備と位置付けられる。
  最近では生活排水中の冨栄養化が進み、窒素・りんの除去が必要となってきた。
  活性汚泥法の反応タンクでは有機物除去が目的であり、窒素・りんの除去を目的とした設備 として高度処理設備が普及してきた。図-2 に高度処理設備のフロー図を示す。


図-2:高度処理設備のフロー図(基本形)


  活性汚泥法は下水に空気を吹き込み、攪拌すると下水中の有機物を栄養とする微生物が繁殖し、有機物を凝集性のあるフロックへ変化させる。
  これが活性汚泥と呼ばれるもので、細菌類、原生動物、微生物の他生物とは無関係の有機物 や無機物からできている。
  反応タンクにおいて空気の吹込みや機械でのかき混ぜにより酸素を供給しており、この時できる水流によって活性汚泥を浮遊状態に保っている。
  反応タンクから流出した活性汚泥混合は、図-3に示すように最終沈澱池で重力沈澱により固 液分離され、上澄水は処理水として放流される。
  沈澱・濃縮された活性汚泥は、反応タンクに返送され混合されて下水処理に利用される。


図-3 活性汚泥法のフロー図


 5、高度処理

 活性汚泥処理以上の処理水質を得られる処理を高度処理と呼んでいる。
 高度処理が求められるようになった背景として、放流される河川や海域の水質環境基準への対応があり、BOD,COD,SS,窒素、りん といった汚染物質の処理が必要となってきたことが挙げられる。
 さらに、処理水の再利用が進むにつれて、その用途に応じた処理が求められるようになり、その要求に応える為の処理方法が必要になった。
 いずれにしても、今後資源の再利用が進むことによって、処理水に求められる品質も高度なものなっていくことは必須であり、水処理技術はより高度なものになっていくと考えられる。

 6、混和池

  最終沈澱池で処理された処理水は、公共水域へ放流される。
  処理水中には多くの細菌が存在するため、放流水の衛生的安全性を高めることを目的に消毒が行われる。
  消毒は主に次亜塩素酸ソーダ等塩素系薬剤を用いて行われており、処理水と薬剤の混和と接触時間を確保するために用いられるのが混和池である。

参考文献:(財団法人)日本下水道協会編  下水道施設計画・設計指針と解説(後編)