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3.空気の流れを計る

 

 2.空気の流れを計る流量計

空気の流れを計る流量計

(1)気象観測用風速計
 自然現象としての空気の流れである風を、風速として観測することは工業的にも重要なことである
風速計にはいくつかの種類がありそれぞれの特徴を活かした使い方がされている。
現在、気象観測用として使用されている風速計としては次のようなものがあり、各計器について説明する。
(1-1)風杯式風速計
 垂直な回転軸の周囲に3〜4個の半球形の風杯と呼ばれる風受けを取付けたもにで、風杯の凹面が風上となる時、凸面より風の抵抗が大きくなることで凹面から凸面へ力が加わり、この方向に回転する。
この回転を発電機や光電式の発信器に伝えることで風速信号を得ることができる。
この風速計は風向に依存しないため、風向の変化に対する応答性がよいが風向を知る必要がある時は風向計と組み合わせる。4杯式と3杯式があるが最近では3杯式が主流となっている。
(1-2)風車式風速計
 ベーン式とプロペラ式がある。風車形の風速計は風と直角に向き合う必要がある。
このためプロペラ式は風向計と一体となっているものが多い。ベーン式は携帯用として使われており気象用の他ダクトの風速や空調の風速測定などに使われる。
(1-3)熱線式風速計
 電流を流して加熱した素子に風が当たると、風が熱を奪って素子の温度は低下する。
風の速度(風速)と素子の温度低下の相関が分かれば、温度を知ることで風速を知ることができる。この原理を使った風速計が熱線式風速計である。
 一般に使われている熱線式風速計は定温度型と呼ばれるもので、熱線(素子)の温度を常に一定になるよう制御する。
 

図3 熱線式風速計のプローブ部

風速によって奪われた熱で素子の温度は低下するが、これを補って常に同じ温度になるよう熱線に流す電流を制御している。このときの電流を測定すれば奪われた熱量に比例するので間接的に風速との相関が得られる。
 さらに風によって低下する熱線の温度は風速の他に空気の温度によっても変化するので、空気の温度による影響を補償する必要があり実用化された熱線式風速計には温度補償回路が組み込まれている。
 熱線式風速計は常設の気象用風速計としてよりも携帯用として各種設備の点検やデータ採取用としての用途が多い。
(1-4)超音波式風速計


図4 超音波式風速計のセンサー部
超音波式流量計に使われている伝搬時間差方式と同じ原理で、超音波を風上→風下へ発射したときと風下→風上へ発射した時では、同じ距離を超音波が伝搬する時間が風速分だけ変わってくる。
即ち風向と同じ向きに発射された超音波は風速分だけ早く伝搬し、風向に対抗している超音波は風速分だけ遅くなる。
 この両者の差を測定すれば風速による伝搬速度の差をより大きく捉えることができる。
気象用としては、超音波の発信・受信の組合せを複数組とし各組の風速のベクトルから風向を求めることで風向・風速計を構成すている。
気象観測用の風速計は6m/s以下で0.3m/s、6mを超えるときは風速の5%が器差と して許容されている。

(2)ダクトの風速(流量)計<
 ダクトとは前項でも述べたように空気を通す管(通風管)のことであり、建造物(建物)や船舶・車両・航空機の空調、給排気・排煙等に用いられるものであり、工場の設備には必ず付属しているといって良いものである。
 現在ダクト用の流量計として確立したものは無く、大部分は風速を測定して管理されている場合が多い。
 風速計として使用されているものには、べーン式や熱線式、超音波式といった気象用に使われるものと原理を同じくするものが多い。
 工業用の流量計としてはピトー管や多孔式ピトー管と云ったものがある、ピトー管は極部的にセンサー部の風速を知るものであるが多孔式はピトー管を複数組み合わせたものでダクト全体の平均風速を測定できるようにしたものである。
〈ピトー管の測定原理〉
 流体が流れているとき流れをせき止めると()の力が加わる、この力を動圧と呼ぶ。
 ここで、ρは流体の密度でありVは流速である。
 動圧は流体が流れているときに発生する力であり、正確には圧力ではないが単位が同じであるため動圧と呼んでいる。
 P=とすると、動圧(P)を測定することで流体の密度(ρ)が既知であれば流速(V)を知ることができる。
 ピトー管は(図2−1)のような構造から、導圧を測定するものであり広くダクトや風洞内の流速測定に利用されている。
 多孔式ピトー管は(図2−2)のように動圧検出のための孔を複数設け、流路の断面に対する動圧の分布を平均化する仕組みを備えているものであり、これによって流量測定を可能にしたものである。
 ピトー管は簡単な構造であるため、多くの使用実績があるが全(動)圧検出の孔が流体の上流に向かって設置されるため流体に塵埃や湿分があると孔を詰まらせることになる。
このような場所では詰り防止のために定期的なメンテナンスが必要になるが、定期的に逆洗のためのパージを行うことで詰まり防止を行うこともある。

  
図2-1 ピトー管の構造原理図              図2-2 多孔式ピトー管 

(3)一般配管の空気流量計
 一般のプロセス配管では空気はいろんな条件で流れており、その測定環境は非常に幅の広いものとなっている。
 プロセスの中での流れの環境とは、温度・圧力・湿度・流量のレンジなどであり温度ではマイナス領域から1000℃付近までが対象となる。圧力では負圧領域から数10MPaまでを対象とし、湿度ではドライから飽和に至るまでの幅がある。
 また流体が流れる配管にも材質やサイズに多くの種類や規格による違いが存在する。
3−1 オリフィス流量計
 前項でも述べたように、プロセス用流量計としては一般的に問題がなければオリフィス流量計を採用することが多いが、オリフィス流量計についてはいろんな場面ですでに取り上げているのでここでは省力するが空気流量の測定について、オリフィスから差圧伝送器までの導圧管についてその配管の基本的な形式を図3-abcに示す。
 導圧管の配管については気体の場合、基本的に測定流体中の水分や塵などの不純物が導圧管に入り込まないようにすることである。
 このため、図3−abcでは配管の上部から上向きに圧力を取り出すよう導圧管を取り付けている。
この例では差圧伝送器を測定配管より下方に設置する例を挙げているが、設置場所の条件が許せば伝送器を測定配管の上方に設置することで導圧管や伝送器内に水分などの不純物が入り込むことを防止することができる。



3−2 渦流量計
 蒸気測定の項で述べたように渦式流量計の流量計算式はU=f・w/Stで示される。
 ここで、U:流速
      f:発生する渦の周波数
     w:渦発生体の幅
     St:ストーハル数
 渦流量計の動作原理は、流れの中に置かれた注状体の後ろに規則性のある渦が発生することを利用している。この渦はカルマン渦と呼ばれるもので流体のレイノルズ数による条件によって上式のストローハル数(St)が一定の値をとることが知られている。
 上式を書き換えるとf=U・St/wとなり、Stが一定の値をとる領域においては発生する渦の数(周波数f)は流速Uのみに比例することになり流量計として使われる。
渦流量計の特徴の一つは、この式から解るように出力である渦の数(周波数)を決めるのは流体の速さ(流速)のみであり他の要素は関わらないことである。
 従って、流体の温度、圧力、密度、粘度などの値が変化しても、出力である周波数は流速のみの比例している。
 このことは空気の流量測定において、温度、圧力が変化しても使用状態における容積流量が補正なしで測定できることを意味している。
標準状態や質量に換算して測定値を表示するときは設計基準値と使用状態の値から換算する必要はある。
 図3−1は渦の発生する状態を示している。
 渦発生体の形状は流量計のメーカーによって違いがあり、発生した渦の検出方法とあわせてそれぞれ特徴を持っている。図3−2に渦発生体の形状例を示す。

(渦流量計の温度・圧力補正)
 渦流量計の測定値を標準状態(0℃、1atm)の容積で表示するときは、設計基準値の温度・圧力から使用状態の温度・圧力が変化すると補正が必要となる。
 このときの補正は次の式で行う。
    
 記号の説明:ここに使用する記号の意味は次の通りである。
  Qn0:(補正前の値)目盛基準が標準状態の計器の使用状態での指示値
  Qnf:(補正後の値)使用状態の指示値を使用状態から標準状態へ換算した値
  Pb:設計基準状態の絶対圧力
  Pf:使用状態の絶対圧力
  Tb:設計基準状態の絶対圧力
  Tf:使用状態の絶対圧力
3−3 面積式流量計

図3-3 ガラス管を
測定管とした
面積式流量計
 面積式流量計は空気の流量計測にもよく使われおり、とくに流量が現場で目視できることから流量ゲージとしての役割をもって使われていることが多い。(図3-3参照)
 面積式流量計の精度は2〜3%程度とそれほど高精度ではないが、構造が簡単で安価であることからよく使われている。
 また、その構造上目盛の20%以下は測定できない(測定範囲外)が、流量ゲージとして現場で流量が 目視できることから運転監視用として多くの台数が使われている。
(面積式流量計の動作原理)
 図3−4/5に測定部の水平/垂直それぞれの断面を示す。
 測定流体は上に向かって広がったテーパー管を下から上へ垂直に流れ、この測定管内に置かれたフロートを上方に押し上げる。
 このとき流量が増えるにしたがってフロートとテーパー管の隙間が広がるため、この隙間を通る流量と フローとの位置は次の式で関係づけられる。
 
 
  ここで Q:流体の容積流量

  C:流出係数
  A:流通面積
  g:重力の加速度
  Af:フロートの水平最大面積
  Vf:フロートの体積
  ρf:フロートの密度
  ρb:流体の密度
  この式の右辺は流通面積(A)以外は常数であるから、流量(Q)に対する変数は流通面積(A)のみとなり、フローとの位置が流量と関係することが解る。
 この流量計は、その構造上垂直に設置して使用しなければならない。


図3-6 金属管を使用し
伝送機構を組み込んだ
面積式流量計
 面積式流量計は現場での目視用として、流量ゲージの用途だけではなくフローとの動きを電気信号や空気圧信号に変換する変換装置を組み込んで流量伝送器としての用途も多い。
 その場合測定管にガラスではなく金属管や金属にテフロン等の耐食材をコーティングしたものを使って、より過酷な流体条件での仕様を可能としている。

(4)特殊用途の空気流量測定
 ここでは、一般のプラント以外で使われる実験装置やテストプラント、試験装置のような特殊な用途に使われる流量計について取り上げる。
4−1 微小流量流量計
 実験装置やテストプラントでは一般のプラントを何分の一かにスケールダウンした流量で運転されることが多い。
 このような設備での空気流量は主にマスフローメーター(コントローラー)と呼ばれる熱線式の 流量計が使用されている、その原理構造図を図4−1に示す。
 図4−1においてQmとQbの比は絞りによって一定に保たれている。バイパス細管にはヒータが巻かれており、流体に一定の熱量を与える。流体が流れているときはT1とT2の間に温度差を生じ、これが質量流量に比例する。この流量計は微少流量の測定に適しており、半導体プロセスに多く使用されている。 主に気体用で精度はフルスケールの±1〜2%である。
 この流量計は質量流量を測定できるが、対象気体の比熱が変わると誤差となる。
 このため空気の流量測定に使用するときは流体名を必ず空気と明示することが必須となる。

4−2 層流量流量計(ラミナーフローメーター)
 流量に対して大きな口径の配管を使用するときや流速を落として流したいときの流量測定に は層流流量計が便利である。
 この流量計は層流状態で流れる流路において、硫路と流体の粘性による圧力損失が流量に比 例する現象を利用しており、圧力損失を差圧計で測定することで流量を知ることができる。
   通常の絞り式流量計は流路に絞り機構(オリフィス・ノズル・ベンチュリー等)を設け強制的に圧 力降下を発生させ、その圧力降下(絞り機構の前後の圧力差=差圧)によって流量を測定する もので、発生する差圧は絞り機構を通過する流量の二乗に比例すると云う関係がある。
しかし、層流流量計の場合は流路に発生する圧力損失(差圧)は流量に比例するので、絞り式 のように測定した差圧信号を開平演算して流量を求める必要が無く、差圧信号をそのまま流量 として読み取ることができる。
   *層流とはレイノルズ数が約2300以下の流れの状態で、これより大きなレイノルズ数の領域では     乱流状態となる。
 図4-3に層流と乱流の管内流速分布のイメージを示す。

(層流流量計の用途)
 この流量計の用途は主に試験装置に採用されることが多く、内燃機関の吸入空気流量・ブロ ワーやファンなど送風装置の性能試験などに使われる例が多い。
4−3 ソニックノズル
 未知の流量を測定するものが流量計であるとするならば、ソニックノズルは標準流量発生器と 云うべきものである。

図4-4 ソニックノズルの断面図
 図4-4のようにスロート部をもったノズルに空気を流したとき、ノズル上流側の圧力P1と下流 側の圧力P2の比(P2/P1)がある値(臨界圧力比)より小さくなると、スロート部を通過する空気の 流速は音速で固定される。
 この状態では、スロート部の流速はノズル下流側の状態に依存せず安定した流れとなる。
したがって、スロート部の大きさにより各種の流量を発生させるノズルをが製作でき標準流量発 生器として使用することができる。
 このような機能により、ソニックノズルは流量計の校正 装置として使用されている。