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計装Cube36
非製造プロセス計装アプリケーションに学ぶ

電気通信大学 新  誠 一
2007年2月号より抜粋

 1.はじめに

 今回の企画は非製造業への計装技術の展開である。経済が冷えて製造業が停滞しているためだそうである。いや,待て。製造業は悪くない。悪いのは非製造業だ。世界がイノベーションで明るくなるなら,イノベーションの発信源は製造業である。今回の経済危機を発端に,濡れ手に泡の産業から堅実な製造業への見直しが始まっているのだろう。  
  一応,製造業に関する私見を披露したところで本題。確かにDCSやPLCのようなよいものを製造業だけで使うのはもったいない。信頼性,耐久性,実時間性。磨いた技を広い世間で知って欲しい。同時に,この優秀な計装技術を製造業以外で使って欲しい。製造業礼賛から,このようなことを機会があるごとにお願いしてきたことも事実である。それでは,改めて計装技術の非製造業利用の巻きの始まり,始まり。  

2.金融

 まずは震源地の金融から。最近は銀行の合併が盛んで金融の決済システムがIBMや富士通など数社に絞られてきた。その分野で長年頑張ってきたのが日立製作所である。総合電機メーカであるので,DCSも金融も,交通システムも担ってきた。この日立が担当したものが現在の東京証券取引所の付け合わせシステムである。実はニューヨーク証券取引所では付け合わせを20ミリ秒ごとに行っている。それに対し東京では2 秒ごとである。東京で1回付け合わせをしているうちに,ニューヨークでは100回取引ができていることになる。株価の変動が急速な昨今,制御周期2秒は致命的である。現在,富士通が新世代の付け合わせシステムを開発中である。 これは10ミリ秒ごとに付け合わせができるといわれている。
 ミリ秒の大量データの制御はDCSの十八番である。現在の金融の世界では人が判断して決済していては遅すぎる。株価や為替などの変動に応じて自動的に決済を行うアルゴリズム取引が主流である。この決済ではファンドごとのアルゴリズムが生命線である。よいアルゴリズムなら儲けを出し,悪いアルゴリズムを使うと破綻する。米国では,このアルゴリズム開発にMatlab/Simulink)が使われている。これは,圧延,蒸留塔などの制御アルゴリズム開発に使われてきた制御系設計CADである。  


 以上からおわかりいただけるようにDCSの能力を生かせる場所が広がっている。 実際,図に示すようにDCSもリアルタイム制御装置から文書処理やSCM,ERPとの連携などの上位系に役割が移行している。決済周期の短縮と信頼性の向上は,DCSが金融業界に進む追い風である。  

3.自動車

  Matlab/SimulinkはPAの業界で使われ始めたが,今は自動車業界の寵児である。この業界の流行り言葉であるMBD(Model Based Development)は時に,Matlab Based Developmentと揶揄される。揶揄ではなく,実力の裏づけがあってのことである。DCSがPAの魂,PLCがFAの魂であるなら,自動車業界の魂はECU(Electric Control Unit)である。これも昔はEngine Control Unitの略称だった。中身は基本的にAI,AO,DI,DOのミリ秒単位の制御である。現在,試作車ではdSPACE社のマイクロオートボックスが使用されることが多い。Power PCを用いた制御装置であり,Matlab/Simulinkと直結してオンラインでパラメータ調整ができる。dSPACE社は,産業用ロボットにも使うことを推奨している。  工作機械,産業用ロボットのコントローラではオークマ,安川,FANUC,三菱などの物が使われている。ラダーにPIDも加えたPLCは,このコントローラに近い立ち位置にある。さらに,信頼性と低価格化を達成できればECUにとって変わることも夢ではない。  

4.家庭

  せめぎ合いは苦しい。未踏の世界はないのか。そんな声が聞こえてきそうである。それはある。これまで制御に縁がなく,そして制御にこれから取り組まなければならない業界である。代表は家庭である。  家庭の照明はマニュアル操作である。エアコンや洗濯機は自動で動いているが,勝手に動いているだけで他の家電製品と連携はとっていない。そして,家庭では省エネが求められている。ご承知のように京都議定書によれば,1995年の水準に比べて6%のエネルギー削減が求められている。現在は7%程度の増加である。家庭での削減は必須である。  これまでは家庭にネットワークを持ち込むことでエネルギー削減を行うことが試みられてきた(図)。これをHEMS(Home Energy Management System)と呼んでいる。しかし,時代は熱電供給にシフトしている。一つは据え置き型の燃料電池やガスエンジンである。これは,都市ガスを使って発電するとともに,その際の発熱を利用して給湯を行うものである。発電だけでは燃料の40%程度のエネルギーしか利用できない。しかし,給湯も加えれば80%程度利用できる。建前としての環境問題,本音としては燃料費節約。両輪がかみ合い,そして初期投資が下がれば,爆発的に普及する。ホームサーバ機能も取り入れたPLCは家庭では魅力的な商品である。




図4 ネットワークによる利便性提供


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