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計装Cube34
バーチャルディスカッション
安全計装と工場安全を考える

  〈登場人物(仮名)〉
  工場革新対策担当執行役員 岡田
  生産現場革新推進センタ長 松平
  安全計装製品メーカ安全コンサルタント 朝霧
  経営コンサルタント 大沢

     経営会議が終わった後,部署に戻った岡田役員は,松平センター長を呼ばれて,……。

岡田  「松平君。安全計装という言葉があるのを聞いているだろう」

 
松平「はい,『計装』誌でも,安全計装の話題が取り上げられていましたし」

 


岡田「経営会議でも,『安全対策』は万全をとっておくようにとの社長からの指示があってね。誰か,うちの工場を見て,客観的に,『ここが悪い。あそこは不十分だ』と具体的に指摘してもらって,中期経営計画の各年間予算計画の資料を一緒に作成してくれるコンサルタントはいないかなあ」

 
松平 「経営コンサルをお願いしている大沢さんに相談してみましょうか」

 
岡田 「そうだな。大沢さんに相談してみよう」

 




    =後日の会議室にて=


 岡田「本日は,弊社まで来て頂きましてありがとうございます」


大沢「こちらこそ。安全に関するご相談とのことで,朝霧さんをお連れしました」

 朝霧「朝霧です。よろしくお願いします」

 松平「では,早速ですが。ずいぶん前のことですが,ミキサの洗浄作業で,中に体を入れてはならないことになっているのですが,前の材料が残っていると配合が違ってきますので,念入りに洗浄するように指示を出したのもつかの間,作業者が片足を切断してしまう事故が起きてしまいました。
 作業時は,監視員がついて,制御装置の電源も切れているのを確認しての作業だったのですが,運転員が早めに運転室へ入ってきて,制御装置の電源を入れてしまい,ミキサがぐるっと回転してしまったために,足を切断してしまったのです。その作業者もいつもの作業者ではなくて,手馴れていなかったこともあったようです。当然,警察立会いで現場検証しまして,事実関係の確認にかなり時間をかけたのですが…」

 朝霧「その事故は,安全計装のシステムを導入していればもしかしたら防げたかもしれないですね。安全に関する話は,一通りしておいた方が良いでしょうか?」

 岡田岡田「そうだなあ。せっかくだから,お願いしようか」


 

◆リスク評価と安全計装シーケンス

 朝霧「一応,資料はこちらの記事を見てください。(と言って,『安全計装について』の記事を配布。)まず,『1.安全計装とは』のところですが,国際規格の流れを記載しています。次に,日本にはどのような規格が存在しているのかをリストアップしています。『ISO/IECガイド』を中心に機械的な規格と電気的な規格に分かれていることがわかります。『2.なぜ,安全計装が必要か』では,理解しやすいように事例を挙げています。
 次に,よく話題になるのが,リスク評価です。『3.リスク評価について』は,リスク評価の目的として,一つ目に,リスク(危惧)を低減または排除すること,二つ目に,許容可能な安全性レベルを選定すること,三つ目として,人員を確実に保護すること,が挙げられ,進め方としては三段階あります。第一段階が,機械の動作環境および用途に精通する,第二段階がリスクを全体的に評価する,第三段階がリスクを低減する,となっています。基本概念は,四つのカテゴリに分けられていますが,安全性を確保することに変わりはありません。リスク評価する場合は,定義が重要です。誰が見ても,「そうだ」という定義です。それから,ログを録ることは重要です。そして,どこのどのような情報をタイムスタンプ付きで記録しておくかという安全のための設計が必要となります」

松平「制御コントローラにもファンクショナル・セーフティのロジックは入っているけど,安全計装のシーケンスには特別な仕掛けはあるのですか?」 朝霧「安全計装でのシーケンスは,電源系統ごとで,制御用コントローラとは分けておくことが必要です。制御用コントローラの電源を切って洗浄作業などをしても,安全計装の電源系統は入れておかなければなりません。センサを活かして,作業者が危険区域にいる・いないとかの単純なロジックが多いものですが,高度なロジックでは,作業パターンなどによっては,センサの感度を上げたり下げたり,ロジック条件を変えたりすることもあります。センサにもいろいろあって,作業者が危険エリアに入って来たのを検知したり,作業者が規定の場所に立っているのを検知したり,監視員が緊急ボタンを押したことを検知したり,作業者が握っている操作パネルのデッドマンドスイッチを規定道理に押していることを検知したりと必要に応じていろいろです。ですから,いろいろな種類のセンサ類と組み合わせた安全計装のシーケンスだと思って頂いて良いと思います」



◆安全の責任分担を考える

  岡田「安全計装の導入は,どこまでと考えたら良いのでしょうか?」

  朝霧「人の安全や環境の安全を確保するのに,どこまでやったら良いかは,各企業のポリシと現場のスキルや安全責任者の考えに寄るでしょうね。でも,事故が起きてしまってからでは遅いわけですから,そこは,こちらからはなんとも言えないですね。いずれにしても,導入して良かったと言えるようになって欲しいですね」

  松平「作業者が手を入れたら装置自体が止まってしまう安全対策を施した装置の安全と安全計装はどう違うのですか?」

  朝霧「装置や工作機械の安全は,各装置メーカや工作機械メーカが独特の安全センサや安全のロジックを考えて対応しています。安全計装とは,装置や工作機械の周辺で作業する人の安全を確保するもので,警報を鳴らしたり,表示したり,装置や工作機械を止めたりといったことも必要に応じて行うことになります。また,安全監視のログを自動記録することで,後の解析も行えるようにすることも重要になります」

  岡田「工場の安全ということでは,装置ベンダと工場側との責任分担があると思いますが,そこはどう考えたら良いでしょうか?」

  朝霧「できるだけ,責任は減らしたいというのが,本音だと思いますが,装置ベンダはPL法がありますので,ベンダ責任は装置そのものの設計に関わる範囲にとどまります。作業者に対する安全責任は工場側にあることに変わりはありません。ですから,事故に対する責任は工場にありますが,その原因を作ったのは,装置ベンダなのか,生産システムを設計した請負業者(エンジニアリング会社,システムインテグレータ会社)にあるのか,作業教育や作業の安全確保のための標準作業を守っていたか,が問題となります。いずれにしろ監督責任は工場経営側にあることに変わりはないということになります」



◆安全に対する企業ポリシーを明確に

  大沢「大体,お話が出そろったようなので,整理しておきたいのですが,工場経営側でおさえておくべき重要ポイントはどのようなことになりますか」

  朝霧「まず,重要なのは企業ポリシーで,明確にしておくことです。そして,標準作業についても正確に見える文字サイズで記載しておくことが大事です。そして,装置に負わせるべき安全課題と作業者を守る安全計装に負わせるべき安全課題を示して,それに関わるベンダやエンジニアリング会社やシステムインテグレータ会社に文書を持って通知しておくことですね。
  さらに,装置側と安全計装側に後で事故原因を調査するためのログ機能を持たせることが重要です。可能であれば,法的文書作成を自動で行って,提出できるようにしておくべきです。
  仕掛けをしていればそれで良いというわけではないので,事故想定の訓練も行っておくことですね。従業員がいざという時の対処で躊躇して,報告がなされていなかったとか,別の部署がやっているだろうではなく,相互で確認し合う習慣を身に着けておくことも重要な対策です。
  リスク評価については作成する必要が出てきますが,作成チームを編成して工場管理者側の責任で実施していくことが重要です。
  以上が工場側が留意しなければならない安全対策上のポイントと言えます」

  岡田「今日は,実に参考になりましたて。ありがとうございました。大沢さん,誠意ある対応で助かりました」

  大沢「お役に立てれば幸いです」

  松平「具体的な作業に入ってからも宜しくお願いします」

  朝霧「こちらこそ,宜しくお願いします」

 

〈関連文献〉


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