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計装Cube31
計装機器を巡る現場エピソード

編集部
2008年6月号
キーワード「フィールド/経験/トラブルシューティング」

エピソードG 温度計 -「 カルマン渦による温度計保護管の折損 」

 熱電対の温度計保護管がカルマン渦により折損した。

●対策

応力計算により形状の変更を実施した結果,折損がなくなった。

 カルマン渦による温度計保護管の折損事故は従来からたびたび起こってきたようです。そのメカニズムは保護管の背後に発生するカルマン渦数(強制振動数)と保護管の固有振動数が共振し,流体励振力により折損するものです。その対策としては強制振動数と固有振動数が一致しない(共振しない)条件で保護管の寸法を決定することで,カルマン渦数(fs)と保護管の固有振動数(f0)の関係が
   
であることが必要だと一般的に言われてきました。
 ところが,1998年に日本機械学会が発表した「配管内円柱状構造の流体振動評価指針」(JSME S012-1998)の中では高速増殖炉「もんじゅ」の2次系ナトリウム漏洩事故は「流れ方向振動」で温度計保護管が疲労破損したことが原因だとされ,この流れ方向振動は上記の振動比0.8以下の領域において発生すると報告されています(図1)。

 同指針では非圧縮性流体における対称渦を伴う自励振動および交互渦による円柱構造物への影響と評価がなされていまが,その振動の領域を3つにわけて分析しています。それは
@第1の同期振動域:対称渦を伴う自励振動
A第2の同期振動域:交互渦によるロックイン振動:抗力方向(流れ方向)
B第3の同期振動域:交互渦によるロックイン振動:揚力方向(流れと垂直方向)
 つまりカルマン渦の共振領域として折損のおそれがあるとされていたのは上記の領域のBにあたり,これまでAおよび@は考慮されていなかったことになります。
 同指針では,これらの同期振動を回避・抑制するためには
(A)Vr<1 (Vr:円柱構造物の基本固有振動数f0に対して,どの程度の流速かを示すパラメータ)
 揚力・抗力方向ともに同期振動は回避されている(図の(a))
(B)Cn>64 (Cn:換算減衰率:円柱構造物の対数減衰率に円柱構造物と流体の密度比の効果を加味して,振動のしにくさを表すパラメータ)
 減衰は十分であり,同期振動は抑制されている(図の(b))
(C)Vr<3.3かつCn>2.5
 揚力方向の同期振動は回避されており,抗力方向の同期振動は減衰により抑制されている(図の(c))のいずれかが必要としています。

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