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計装Cube31
計装機器を巡る現場エピソード

編集部
2008年6月号
キーワード「フィールド/経験/トラブルシューティング」

エピソードF 差圧式レベル計 -「 ダイヤフラムの腐食対策 」

 レベル計測に隔膜式伝送器を使用していたところ,水素脆化により隔膜が劣化してしまった。防食対策の伝送器としてダミーチップを取り付けたタイプがあったが,効果が期待するほど大きくなかった。ダイヤフラムのみの修理でも非常に高価で伝送器そのものの交換と変わらないほどであった。

●対策


 メーカと協力して,外側のダイヤフラムのみを簡単に交換可能な構造の二重ダイヤフラム伝送器を開発し,採用した。

 今回の座談会に参加いただいた方々のプロセス(石油精製,石油化学,ガス)で,もっとも多く使用されていたレベル計は差圧式で,ついでガラスゲージ式でした。差圧式もダイヤフラムシール付差圧伝送器(図1)の採用が多いとのことでした。ダイヤフラムシール付差圧伝送器について,高圧側と低圧側のキャピラリの温度に差があると封入液の熱膨張により誤差が生じるため,温度が同一になるように高圧側と低圧側のキャピラリを束ねて設置するような注意が必要などの話がでました。
 さて,エピソードでダイヤフラムを劣化させた水素脆化とは水素が金属に浸透し,金属の延性や展性が低下し脆くなる現象で,ダイヤフラム材がタンタル,チタンの時に生じ,ダイヤフラムの割れや剥離が発生し,封入液漏れが生じてしまいます。
 タンタルやチタンは水素と親和性が高く,水素が金属中に浸透・結合し,金属水素化物を形成します。金属水素化物は電気的に中性であり,電荷を帯びていないため,金属水素化物を形成した層は電子と静電気的な強固な結合を持てず,割れや剥離が発生します(図2)。
 エピソード中の対策として開発された二重ダイヤフラム伝送器は現在,製品化されているそうです。

 また,電子式計器を使用していた際に液電位により,チタン膜→計器→電線管→アース経由で電流が流れ短期間にデイヤフラム膜が劣化したエピソードも紹介されました。これは,接触するイオン化傾向の大きい金属(卑金属)と小さい金属(貴金属)が電解質溶液中に浸漬すると,その間に電位差が生じて電流が流れ金属を腐食させるもので,異種金属接触腐食や局部電流腐食などと言われる現象です。ここでの対策としては電子式を空気式にして対応したとのことです。

〈引用・参考文献〉
・ 横河電機編:「計装メーカが書いたフィールド機器・虎の巻」,工業技術社,H13年


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