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計装Cube31
計装機器を巡る現場エピソード

編集部
2008年6月号
キーワード「フィールド/経験/トラブルシューティング」

エピソードB流量計測−オリフィス流量計「 ゼロ点誤差の思わぬ影響 」

通常,オリフィス流量計では低流量での誤差が大きいため,流量10%以下では流れていないものとしてカットして使用しているが,ある取引においてカットせずにオリフィス流量計+積算計でカウントしていた。その取引の長期間停止中に0.5%程度ゼロ点がずれていた。オリフィス流量計の流量は差圧のルートに比例するため,わずかな差圧0.5%誤差が流量7%で積算されてしまった。

●対策


誤差量に気づき,積算しなおした。その後は,10%以下の場合にカットされるようソフト上で処理を行った。

●差圧流量計のゼロ点

 オリフィス流量計は導圧管を通じて圧電素子により差圧を計測して,差圧伝送器で信号に変換し,開閉演算を行い流量比例信号として出力します。開閉演算する理由はオリフィス流量計の計算式の√を解くためですが,低流量(ゼロ点付近)の時にはこの開閉演算によりその値は拡大し,わずかなゼロ点誤差が大幅な流量誤差となってしまいます(表)。

 そこで,通常は誤差の影響が大きい流量10%(差圧1%)以下をカットして使用していますが,ここでのエピソードはそのゼロカットをせずに積算していたケースです。取引上,低流量部分もきちんとカウントしたかったためなのかもしれません。オリフィス+差圧伝送器における低流量部分での影響が大きいことをものがたるエピソードです。相対的な計測値の精度(繰り返し性)が求められる制御においてはゼロ点のずれは,さほど問題ではないとしても,取引では問題となります。

 ところで,取引用の流量計としては容積式(オーバル)が有名で,精度はオリフィスとくらべて一桁違います。ただし,可動部があり,メンテナンスに手間がかかる点は昔からの課題です。そこで,同等レベルの精度を持つコリオリ式質量流量計を取引に使用している現場もあります。高価で手が出にくかったコリオリ式も最近では廉価タイプ(とは言っても他の流量計に比べれば高価ですが)も登場し,用途も広がってきています。また,海外においては米国ガス協会ガスの取引流量標準規格(AGA9:American Gas Association Report No.9)に超音波流量計が採用され,天然ガスの取引流量計として使用が進んでいるそうですが,国内においてはまだこれからのようです。

 

〈引用・参考文献〉

・川村貞夫,石川洋次郎:「メーカーの技術者が書いたやさしく計装がわかる工業計測と制御の基礎」(第4版),工業技術社,2008年
・佐藤克哉:「税務・取引管理用に対応したコリオリ式質量流量計の採用について」,『計装』,2004年8月号

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