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計装Cube31
計装機器を巡る現場エピソード

編集部
2008年6月号
キーワード「フィールド/経験/トラブルシューティング」

エピソードA流量計測−オリフィス流量計「気体の温度圧力補正」

温度変化の激しいガスプロセスにおいてオリフィス流量計で流量計測を行っていたところ,JIS規格で決められた温度計の設置カ所と流量計測カ所とでは温度差があり,温度補正用データとして使用できない。温圧補正をしたオリフィス流量計の計測値と渦流量計との計測値に隔たりがあった。

●対策


温度計とオリフィス流量計との距離を縮めるため,導圧取り出し口部分に温度計を設置して,温度補正を行った。

気体流量計測と温度圧力補正
 気体(ガス)は圧縮性流体なので,温度と圧力を補正しないと正確には計れません。気体は温度が高くなると体積が増え(密度が減り),圧力が高くなれば体積は減る(密度が増える)というこうとで,使用状態が設定条件(常用状態)と変動する場合は補正をしなければなりません(ボイル・シャルルの法則)。

ボイル・シャルルの法則+理想気体の状態方程式
一定質量の気体の比容積υは圧力Pに反比例し,絶対温度Tに比例する
   R:ガス定数,m:質量,ρ:密度,V:体積
             

密度は温度に反比例し,圧力に比例する


 

温度および圧力の補正は開閉演算の前に行われ,次式で表せます。
     
  ρn:基準状態の密度[kg/m3]
  Pn:基準状態の圧力[Pa abs]
  Tn:基準状態の温度[K]
 オリフィス流量計・差圧伝送器での温度・圧力補正は図に示すように,オリフィス板の前もしくは後に温度計・圧力計を設置しておこないます。JISでは流体の温度計測は流れを乱さないために絞り機構の下流側に設置することが望ましいとして,下流側に設置する場合は絞り機構から5D以上の直管長を取り,上流側に設置する場合は表のように規定しています。  エピソードでは温度変化が激しいため通常の位置での温度計測では実際にオリフィスを通過する気体との温度差により誤差が生じるということでした。仮に,流量計測点よりも上流側に設けた温度計測点の温度の方が高ければ,流量指示は実流量よりも多くなり,計測温度が低ければ流量指示は実流量より少なくなります。そこで,差圧取り出し口に温度計(熱電対)を挿入し,流量計測位置に近づけ温度誤差を抑える工夫がされています。

〈引用・参考文献〉
・川村貞夫,石川洋次郎:「メーカーの技術者が書いたやさしく計装がわかる工業計測と制御の基礎」,工業技術社,2008年
・「JIS Z 8762-1995 絞り機構による流量測定方法」

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