計装キューブは計装分野の情報を専門に扱うサイトです HOME>計装Cube>計装Cube17
本ページは「計装Cube」に会員登録をされていない方でも全文閲覧頂けます。
本ページ文中からリンクされている関連文献のダイジェストも同様に未登録でもご覧頂けます。
各関連文献分の全文を閲覧するには会員登録が必要となります。
お仕事やご研究に役立つ技術論文・資料をお届けするサイト「計装Cube」に
共感を見つけて頂けましたら是非会員登録を!

計装Cube17 インタビュー
「武州製薬に聞く
トラブルを未然に防ぐプロアクテイブな検査」

技術部 本多 進
企画営業部 佐藤 孝
企画営業部 谷口 義章

インタビュアー 月刊「計装」編集長 稲橋 一彦

 武州製薬は医薬品の製剤・包装を一貫して行う受託製造を専門とする製造会社である。最近,医薬品製造受託会社が増えてきているが,同社は1998年に設立されており,その口火を切ったといえよう。
 また,この工場は,各設備を自動化でつなぎ,夜間無人化を実現した工場でもあり,工場見学も受け入れている。
計装Cubeでは,この工場でのバリデーションと検査についてインタビューするとともに,工場自動化の概要をレポートする。

●受託製造におけるバリデーションポリシー


左から 谷口さん・本多さん・佐藤さん

―――武州製薬は医薬品受託製造専門の会社ですけど,医薬品では受託生産が一般的なのですか。

佐藤 今までは一般的ではありませんでした。実は昨年4月に薬事法が改正になり,ある意味規制が少なくなったことから,製造と販売を切り分けるようになり,弊社はその時流に乗ったということです。

―――受託製造の場合,バリデーションのやり方,内容については発注元から指示があるのですか。

佐藤 会社に拠って違います。外資系ではグループとして標準がありますから,それに合わせてドキュメントを作り,バリデーションを行います。日本の大手の大半もそうです。

谷口 ただし,特に希望のないお客様については武州で持っているバリデーションの仕組みを採用させていただきます。

本多 基本は製造業がバリデーションの責任を持ちますので,基本的には製造業である武州製薬がバリデーションの責任を持ちます。ただし,顧客の側のポリシーなどもありますので,その要求に対してオプションとして対応しています。受託専門会社というのは日本にはそう沢山はあるとは思われませんが,薬事法が2005年に改正され,それによって受託製造環境が整備されました。従来の大手,薬事法で言う製造販売業も受託をしようと考えています。各社それぞれ得意な技術,設備がありますから,互いに補完し合おうという流れがあります。

佐藤 受託製造会社としては,バリデーションの計画書を作って,それがお客様に承認いただければ,その手順に従ってバリデーションを実施しレポートを作成することになります。プロトコールを作る段階で,お客様と特定の評価基準を入れるとか,入れないとかの議論があります。

本多 逆に,例えばホルモン剤ですと弊社のポリシーとしてホルモン剤は他の製品と完全分離して製造します。顧客によっては分離しなくても良いという場合でも,弊社では絶対に分離します。これはお客様のいいなりではなくて弊社は弊社のポリシーをきちんと持っているわけです。

●検査データの活用とバリデーションの関係

―――工場見学で見ましたけれど,検査データを収集している。計装の発想でいきますと,なんとかこのデータを製造にフィードバックしたいのですけれど,バリデーションということで製造そのものを変えられないですよね。

本多 確かに検査機が選別機であってはならない(医薬品品質保証における自動外観検査機の活用事例)と考えています。そのため,日常の製造工程で検査機が排除するものの量・内容を科学的に解析することが重要であり,検査機は,製造工程の異常を早期に発見・対応するための手段とすべきであると思います。しかしそれはオンラインでのフィードバックではなく,あくまで今まで異常が多くでた,例えばある検査をして検査機がはねたものが多かった場合,何か原因があるだろう。その情報を例えば統計的に解析するなどして,もう一度製造条件を見直さなければならないということです。

―――製造バリデーションということは,品質に変化があってはいけないことですよね。

本多 バリデーションによって製造方法が決められていますから,品質に変化があってはならないわけです。ただし,原料に変なものが混ざっていて,たまたま受け入れ検査で見つからなかった場合は当然,最終結果として異常が出てきます。その原因が何かということを探さねばなりません。基本的に変化を前提にプロセスを作るわけではありませんが,設備も機械ですから老朽化もしますし,トラブル,摩耗なども起こるなど色んなケースが考えられます。また制御機器でも突然どこかで不具合が発生するかもしれません。こういったことは予測していませんから,事故ということになります。検査なり,製品の品質確認,分析までやって最終段階では全部で見つけているわけですが,そのトラブルをその場で見つけられれば,これにこしたことはありません。
検査では異常の発生率の傾向分析など見ながら何かおかしなことはなかったか,当然許容範囲内ではあるけれど,いつもはこのくらいのレベルなのに今日はレベルがちょっと高い,これは何かあるのではといつも考えておくことが重要で,この範囲内であるから大丈夫ではなく,何か傾向がある,またあるいは過去に原因があったのでしょう,ということを見ようというのが基本的な考え方です。それは機械が判断してくれませんから,人間の知恵になります。そして結局それが大きな品質事故を防ぐことになります。

●トラブルを防ぐための教育が大事

―――ヒヤリ,ハットの段階で止め,大きな事故につなげない。そういう意味での検査データをしっかり見ていく。そうすると,検査をする人たちのモチベーションが非常に大事になってきますが,それを生かす仕組みというのは何かお考えとしてありますか。

本多 一つの方法はオペレータの教育で,われわれも定期的にGMP教育というのを繰り返し行っています。ただし,所詮人間ですから人によって感性も違い,微妙な差があります。同じロットでいつも検査機が100錠はねているのに,今日は200錠はねている。これを異常と捉えるのか,今日はおかしいなということで終わりにするのかという差があります。そこは人間の教育ですよね。
もちろん出荷までには,色んなチェックシステムがあって,最後には品質管理のQA,QCの部門が行いますが,そこでまた異常を見つけるなどいくつものチェックが働いています。

―――しかし,速く見つけられれば速いほどよい。

本多 もちろんです。その原因を早く戻せますから。そのためには,基本的には実際に作業する人の意識の高さ,モチベーションの高さがポイントになると思います。

―――装置のメンテナンスが大事になりますが,メンテナンスはメーカが行うのですか。

本多 オーバーホールはメーカですが,日常のメンテナンスは弊社の保全部隊が行います。オペレータとは別に保全部隊を抱えています。センサのキャリブレーション,計器がちゃんと動くという保障は,一旦バリデーションを行ったら良いということではなく,常に見ています。例えば温度計は正しいのかなど,重要なものは一年以内に基準校正,一番上の国家検定までトレーサビリティを持った計器で全部,測定し直すまでやります。専門の業者にお願いする部分もありますが,日常の運転のトラブル,整備などは弊社で賄っています。

=====工場レポート=====
案内人:企画営業部 谷口 義章


 川越にある本社工場は約65,000u敷地に製剤棟,品質管理棟,包装棟などが廊下棟により倉庫棟と結ばれる総二階建てのレイアウト(図 工場レイアウト)となっている。廊下棟の1階は搬送ロボット通路となっており,自動倉庫−各設備間での原材料,半製品,製品などを無人搬送する。また搬送されてきた材料,半製品の各装置へのハンドリングも自動化され夜間無人化を実現している。


●自動倉庫・自動搬送システム

 自動倉庫は横4列,縦17段,奥行50列のラック倉庫で,1m×1mのパレットを最大3,400枚収納できる。パレットに貼付されたバーコードには品番,ロット,試験済みなどの情報がインプットされている。自動倉庫は各製造現場からの指示を受けると,バーコードの情報をもとに該当するものを選別し,出庫,自動搬送車により指示のあった現場まで搬送する。現場では製品ができ上がると,品番,ロット等のデータを入力したバーコードをパレットに貼付,自動搬送車が倉庫まで運んでいく(写真1 廊下棟の自動搬送車)。倉庫には原料,中間品,完成品が納められており,それぞれ別経路で出入りするようになっている。倉庫の左右にあるクリーンルームでは受け入れ原料の品質確認のためサンプリング検査を行っている。

●第二製剤棟


写真1 廊下棟の自動搬送車

写真2 錠剤外観検査機

 倉庫から搬出した原料は廊下棟を通り各製造現場に移動される。ここでは例として第二製剤棟を取り上げる。
第二製剤棟に運ばれた原料は昇降機により三階までいったん運ばれ,パイプを通じ二階の加工工程に自動供給される。二階ででき上がった製品はコンテナ,自動搬送車がある一階まで移動される。材料・完成品はすべて機械により移動され,また打錠機などが24時間稼働できるよう,コンテナは満杯になると自動的に移動,次のコンテナが無人でセットされる仕組みになっている。
 二階の製剤室は一品目ごとに別れ,打錠機,検査機がバケットリフトでライン上につながっている。(検査は全品検査で,錠剤はゴムローラにより回転されながらCCDカメラで全面の外観のチェックが行われる 写真2 錠剤外観検査機)。異常があれば不良品受けにはねられるようになっており,これらの製造データはすべて記録される。また,不良率が増えた場合などは機械が自動的に運転を停止するなどの設定がされている。
完成品は一階のコンテナに受け入れられる。コンテナは二階の製造データと連動し自動で移動する。ここでの製品情報はRF-IDが利用され,RF-IDのデータはコンテナ番号がキーとなっており,品番,ロット番号などは書き換えることができる。搬送の際,データが一致しない場合は製品が自動的に戻されるようになっている。
第二製剤棟の無人搬送システム,廊下棟の無人搬送システム,生産管理システムのMCFrameはイーサネットでつながっており必要なデータは交換されるが,それぞれ独立したシステムとなっている。     

〈関連文献〉

このコンテンツの全文を閲覧するには会員登録が必要です。
未ログインの方は画面右上部の「全文を読む」というテキストをクリック後表示されるログイン画面にIDとパスワードを入力してください。既にログインされてる方は画面右上部の「全文を読む」というテキストをクリックすると全文表示画面に移動します。
会員登録がまだの方はこちらから会員登録をしていただけます