計装キューブは計装分野の情報を専門に扱うサイトです HOME>計装Cube>計装Cube15
本ページは「計装Cube」に会員登録をされていない方でも全文閲覧頂けます。
本ページ文中からリンクされている関連文献のダイジェストも同様に未登録でもご覧頂けます。
各関連文献分の全文を閲覧するには会員登録が必要となります。
お仕事やご研究に役立つ技術論文・資料をお届けするサイト「計装Cube」に
共感を見つけて頂けましたら是非会員登録を!

計装Cube15
「Cubeインタビュー:
製造業XML推進協議会に聞く−壁を越えるXMLという標準語」

話し手:MfgX運営委員長 東京大学 新 誠一
インタビュアー 月刊「計装」編集長 稲橋 一彦


XMLとは何だ?製造業に関わりがあるのか?といわれそうだが,これからの工場の効率化・統合化に当たって欠かすことのできない技術である。

FA,PAという分野のみならず,各部署も含め,文書形式,用語の違いは,工場統合化の大きなネックになっていた。XMLは,これをOSを越えてオブジェクトにより連携させてしまうものである。

XMLはWWWコンソーシアムで制定された文書標準であるが,日本ではこれを推進する母体として,製造業XML推進協議会(MfgX)が,2002年10月,(財)製造科学技術センター内に設立され,翌2003年,第一回のシンポジウムが行われた。

Cube15では,2006年2月7日に行われた第二回シンポジウム(MESXによる実証デモも合わせて行われている)に取材・インタビューした。


―――まず,今回のシンポジウムで行われたMESXによる生産計画(PSLX)−生産実行システム(MES)−製造装置の接続による「見える化」の実証デモンストレーション(写真)についておうかがいします。この実証デモは今後の製造業XML推進協議会(以下,MfgX)の活動のベースになると思われますが,その意味,位置づけについて解説をお願いします。

#demo
新 誠一さん
#demo

MESXに参加しているのはFAオープン推進協議会(FAOP)とPSLXコンソーシアム(PSLX)で,FAOPがデバイス側の情報を集めてくるところを担当し,PSLXがスケジュールやプランニングなどを担当しています。両者ともMfgXの会員です。

MfgXは実動部隊というよりは,場を提供しています。MfgXには準会員制というのを設けていまして,いろいろな標準化団体が準会員になっています。そういった準会員の標準化団体が連携する場を提供しているのがMfgXの大きな特長です。

MfgXの由来は,FOUNDATIONフィールドバス,PROFIBUS,CC-Linkなどネットワークの標準化団体が個別行動して,互いに双方に情報が行きわたっていない状況からIA懇談会を作ったところから始まります。その懇談会の中で,「どういうかたちだったら皆が連携を取れるか」といったアンケートを行ったところ,その回答がXMLでした。XMLという“糊”を使うとそれぞれ違う標準だけれども皆が連携して動けるようになるということです。それが実際の成果となったのが今回のMESXのプロジェクト(実証デモ)です。MfgXとしては製造科学技術センター(MSTC)にはお世話になっていますが,そこが作ったわけではなく,色んな標準化団体のカスガイとして生まれたもので,標準化団体が親とでも言ったらようでしょうか。

 

---今回行われたMESX実証デモの評価についてお聞きしたいのですが。

 

 実証デモですが,これは一つのネットワークで機械をつないでいるのですが,人系が入っていません。工場には機械の稼働データだけではなく,人間がいて,人間の勤怠管理,報告書など,われわれは文書と呼んでいますが,それが入っていません。

 しかしマシンエグゼキューションシステムのレベルのデータを全部,XMLで交換しています。ISO 15745のMESに関する必要な機能を決めているフレームワークに準拠した形で実際に作ったのは今回が初めてになります。それが一つ大きな成果です。そして,それに止まらずに,スケジュール系,プランニング系のPSLXとも連携して,上位系からデバイス系まで一気通関にXMLという形で連携できたことも世界的には珍しいことです。

 文書についてはユーザから要望があり,人系と機械系をうまく結びつけることが必要ということで,「文書連携プロジェクトワーキンググループ」を作りました。この文書連携プロジェクトWGが中心となって今まで欠けていた人系のところのプロジェクトにより,今回の実証デモと組み合わせると工場全体がXMLで連携するという形になります。

つまり,文書連携プロジェクトは,先ほどの標準化団体を束ねるという仕事だけではなく,MfgXにとっては初めてのオリジナルなプロジェクトなのです。これを受け皿にして,標準化団体,各ベンダが実験ができるということになります。


−今日行った実証テストではコントローラ以下のデバイスは仮想データですが,下位のコントローラ,MES,上位系とがXMLで糊付けされ,「見える」ところまできたということですね。

 

 そうです。MESの一番の下位がPLCだと思っていただければいいと思います。PLCのデジタルやアナログのIN/OUTが下側で,センサまでは考えていません。そのデータがあるとして,上位系とつなげるということです。もう一つはHMIの部分まで作っています。MESを統一することは何が良いかというと,エンジニアリングツールの統一化ができます。ISOに準拠しているものであれば, PROFIBUS,CC-Link,ADS-netでも,またメーカに拠らずに皆同じエンジニアツールでPLCの情報が扱えるようになるというのが大きな特長です。


−最後の質問として,XMLによる文書連携が「見える化」などの役立つものと期待されていますが,実際に使い始めているところが出てきていますか。また文書連携プロジェクトにはロードマップが設定されているのですか。

 各ベンダーは文書関連のツールを既に提供しています。しかし,ベンダーを越えて連携できるところまではきていません。文書連携のプロジェクトでは各ベンダーの製品やマイクロソフト社のオフィスなどの製品,そして携帯電話なども連携に対象にしています。XMLをベースにした,この範囲の広さが大きな特徴です。

 文書連携プロジェクトは丁度始まるところです。3月に関係者に集まってもらうことを計画しています。当面の目標は11月末に横浜パシフィコで開催予定のMOF2006です。これは2年前に開催したMOF2004が好評だったため,さらにグレードアップして開催します。MOFはManufacturing Open Forumの略称です。MfgXと同様にIA懇談会から生まれた成果の一つです。XMLがバーチャルな連携なら,MOFはリアルな連携です。ワンストップで各標準化団体の技術内容を把握できると同時に,各団体の枠を越えた連携を理解できます。ここで,プロジェクトの成果を発表できることが目標です。 

   
(了)

デモレポート
XMLによる生産計画(PSLX)〜製造実行システム(MES)〜製造装の連携実証デモストレーション

2月7日開催の「製造業XMLシンポジウム」では,「XMLによる生産計画(PSLX)〜製造実行システム(MES)〜製造装の連携実証デモ」が行われた(写真)。デモ用システムは,上位の計画サーバ,中間のスケジュールサーバ,MESサーバ,そして下位のPLCで構成,各間はイーサネットで接続された。ISA-S95で定義される階層レベル1〜4までに対応したもので,サーバはそれぞれの階層間をつなぐ役割を担っている。ちなみに,レベル1が装置,レベル2が設備,レベル3が作業場,レベル4が作業区およびエンタプライズのレイヤと定義されている。

 生産計画サーバは製造データ管理システムの「SPBOM」(エクサ製)および生産計画ソフト「Rockn Planner」(同)とで構成され,スケジューラは「AstPLANNER」(横河電機製),MESサーバとして「EXPIO」(ケー・ティー・システム製),PLCおよびパネルディスプレイは三菱電機製品。また,PLCとEXPIOのインタフェースには三菱電機の試作品「MESX通信ユニット」が採用された。

デモは生産計画をもとに生産が実行され,工程終了後,実績データがフィードバックされるまでを行った。まず,Rockn Plannerの生産計画オーダをAstPLANNERに送信,AstPLANNERはその生産計画オーダをXML形式で読み込み,SPBOMの品目構成や製造手順データと照らし合わせながらスケジュールを立て, EXPIOに送る。EXPIOはXML形式のスケジュールオーダをもとに「切削」,「焼き入れ」,「研磨」など工程ごとに生成された実行指示をコントローラに送る。コントローラは加工装置に指示を送り,工程が終了する(今回のデモでは加工装置は接続されていない)とコントローラに工程完了のイベントがフィードバックされる。コントローラは実績データとしてEXPIOへ,さらにAstPLANNE,Rockn Plannerへと上位に送られ,作業終了を確認する。MESX通信ユニットにはデモ用に欠品がでるようプログラムされ,12製品製造オーダに対して1製品が欠品となり,最終的に11製品の実績となった。上位から下位への実行指示,下位から上位へ実績データなどを各サーバのディスプレイで見学者が確認,システムが一気通貫に連動していることを実感した。

〈関連文献〉

このコンテンツの全文を閲覧するには会員登録が必要です。
未ログインの方は画面右上部の「全文を読む」というテキストをクリック後表示されるログイン画面にIDとパスワードを入力してください。既にログインされてる方は画面右上部の「全文を読む」というテキストをクリックすると全文表示画面に移動します。
会員登録がまだの方はこちらから会員登録をしていただけます