OPC実践ガイド
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現場の知を共有する運転支援 パッケージKnowledge Power(ナレッジ・パワー)

山武

●はじめに

 石油,石油化学,紙パルプ,鉄鋼,セメントなどの大型装置を取り扱う事業所では,2007年問題(2007年から団塊の世代の方が退職する時期を迎えノウハウ喪失が懸念される課題)や,定期修理の間隔が延長されプラントのスタートアップやシャットダウン操作を経験する機会が減少することなどを背景として,操業ノウハウの蓄積・継承のテーマがクローズアップされてきている。異常が発生した場合の対応操作,スタートアップやシャットダウン操作など,希に実施する事柄への対応能力が,年々低下することへの懸念である。
 このような課題を解決していくために,山武は,オペレータのノウハウを蓄積・継承できる運転支援パッケージ「Knowledge Power」を開発し販売している。この商品について,以下に紹介する。

●特長/機能

 Knowledge Powerは,異常検知,回復操作,スタートアップ・シャットダウン操作などの非定常運転を支援するシステムで,運転ガイダンス機能を装備したり,制御システム上での操作を自動化したりすることができるシステムである。図1のようなチャートで,異常検知方法,操作手順を記述し,運転支援機能を構築できる。構築にあたっては,標準化されたモジュール(アイコン)を組み合わせてチャート図を作成し,各アイコンの個別機能をFill-in-the-blank形式で設定する。簡単なトレーニングを受講することで,誰でも簡単に運転支援機能を構築できるシステムとなっている。また,作成したチャートは,構築に関わってない方でも簡単に理解でき,標準操作マニュアルとしても利用できる。
 したがって,運転方法を熟知されているベテランが,異常検知方法や操作手順を入力し,ガイダンス機能や自動化機能を構築することによって,経験の浅い方も容易に最適な操作を実施できる運転環境を創出できる。
 標準モジュール(アイコン)には,現場操作用アイコン,DCS操作自動化アイコン,工程進行条件確認アイコン,タイマアイコンなど,シーケンスロジックを構築するためのもののほかに,画像表示やグラフ表示するアイコン,演算を行うアイコン(電卓アイコン,熱量計算アイコンなど),傾向監視や相関監視などを組み込めるアイコンなどが装備されており,運転支援機能構築に不自由しない。
 そして,作成したアプリケーションの検証を容易に実施できるよう,登録したタグが制御システム上に存在するか否かを確認するなどの文法チェック機能,エラー箇所をワンタッチで確認できる機能を装備している。また,制御システムへの書込みをせずに,実行イメージで動作チェックすることもできる。


●システム構成

 Knowledge Powerサーバで全ての機能が動作し,サーバのモニタを利用してアプリケーション開発を行ったり,運転員用ヒューマン・マシンとしてガイダンスを表示させたりすることができる。また,Knowledge Powerクライアントを接続し,クライアントのモニタを利用することもできる。DCSなどの制御システムとの通信は,制御システム側にOPCサーバを装備することで構築できる(図2)。
 以前は,制御システムごとにインタフェースソフトを開発する必要があり,制御システムとの接続が大きな導入課題であったが,OPCの普及で,この課題が大きく緩和されてきている。


●適用事例

 Knowledge Powerは,石油プラント,石油化学プラント,化学プラント,セメントプラントなどで,稼働実績がある。プラントのスタートアップ,シャットダウン,製品切替操作などの運転支援・自動化システムとして,プラント監視機能の強化や,異常が発生した場合の回復操作を支援するシステムとして活用されている。導入目的や効果の多くは,非定常操作時間の短縮,ボード操作の省力化,安全性強化である。
 ある石油化学プラントでは,スタートアップ操作の負荷を低減しながら,2日間の期間短縮を実現した。また,プラントが変動した場合の回復操作を標準化し,Knowledge Powerにガイダンス機能や自動化機能を組み込み,運転員のスキル差によってばらつきがでやすい回復操作を,ある一定のレベルで実施できる環境を整備した。その後,日々改善を積み重ね,異常検知機能を組み込み,変動調整システムの完成度を高めている。このシステム開発は,シフトオペレータ2名で実施され,その後の改善もシフトオペレータが実施されている。初期開発段階での設計工数は,約30人日(標準化検討60%,エントリー20%)であった。

●おわりに

 製造業の事故発生頻度は高度成長時代と比較すると激減しているが,最近かすかながら増加傾向にあると聞く。これは昨今の合理化の推進が影響しているように考えられないだろうか。絶対安全性を保ちながら合理化を推進することが今後とも重要であろう。一方で,OPCを代表とする標準化が進み,制御システムのオープン化が今まで以上に整備されてきているため,各種ソフトウェア製品がより容易に適用しやすい環境になってきている。山武は,装置産業の課題解決に貢献すべく,世の中の技術進展を最大限に活かし,製造現場で必要とされる製品開発を進めていく所存である。

注)Knowledge Powerは,山武グループの商標である。

問い合わせ先

株式会社山武 アドバンスオートメーションカンパニー
ソリューションマーケティング部
〒221-0031
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